潰瘍性大腸炎は完治することのない病気と言われていますが、何故なのでしょうか?私自身も、担当医師の方から言われたことを鵜呑みにしていましたが、自分の体のことなので、改めて理解を深めたいと思います。
潰瘍性大腸炎を患う原因
そもそも潰瘍性大腸炎は何が原因となっているのでしょうか?実は潰瘍性大腸炎とは、炎症性腸疾患の中で《原因が不明なもの》を指すため、原因は分からないものとなっています。そのため、厚生労働省から難病指定を受けています。
発症の原因は病原体から身を守る免疫システムの異常ではないかと言われています。免疫システムの異常により、大腸を「敵」とみなし、攻撃してしまうので炎症が起きる。異常が起きる理由は分かっていません。
とはいえ、想定される原因はいくつか挙げられていますので、紹介したいと思います。
仮説の原因(1) 食生活の質の低下

食生活の欧米化が原因と書かれていることもありますが、腸に負担が大きい食事が増えているということでしょうか。別記事でエントリーしますが、消化がしにくく腸に負担がかかる高脂肪・高食物繊維はあまり良くないようです。
【参照】
東京都病院経営本部
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/eiyou/kaiyou.htmlより作図
また、再燃時はカフェインの過剰摂取も良くないとされています。1日2杯は珈琲を飲んでいる私にとっては、つらい制限でした。
仮説の原因(2) 睡眠不足や過労・ストレス

疲れ・ストレスを残すことが良くないと医師監修の様々なメディアで言われています。私も潰瘍性大腸炎と診断されたときは、かなりの激務が数年続いていたので、そのことも影響しているのかもしれません。(現在は働き方改革もあり、労働時間は改善されています。)
仮説の原因(3) 口の細菌

難病に指定されていることもあって、様々な研究が進められています。研究対象はマウスですが、口の中に存在するクレブシエラ菌が腸管内に定着することが原因、という仮説も立てられているようです。国際学術雑誌『Science』2017年10月20日(金)版に掲載されている論文なので、今後の更なる発展が楽しみです。
早稲田大学理工学術院の服部正平教授と慶應義塾大学医学部の本田賢也教授(理化学研究所統合生命医科学研究センター消化管恒常性研究チームリーダー兼任)らを中心とする共同研究グループは、腸内細菌叢の乱れに乗じて、口腔に存在するクレブシエラ菌が腸管内に定着することにより、TH1細胞と呼ばれる免疫細胞の過剰な活性化を引き起こし、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などの発症に関与する可能性があることをマウスを用いて示しました
潰瘍性大腸炎は遺伝するのか

現時点では、遺伝するかしないかは明確な結論が得られていないようです。私自身、親戚にはひとりも潰瘍性大腸炎がいないので、あまり実感値はないですねー
潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。欧米では患者さんの約20%に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた特異的な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。
【引用元】
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/62
潰瘍性大腸炎は完治するのか
潰瘍性大腸炎は原因が特定されていないため、完治しないと言われていますが、一方で最新の研究も続々と発表されています。本当に完治しないものなのでしょうか。
専門家の見解
原因が分かっていないことは解決することがない、という理由で、現時点では完治は難しいとのこと。
残念ながら、この病気の原因が解明されていない現在では完治する治療法はありません。しかしながら、規則正しい生活とお薬の服用で長期間にわたり寛解を維持し、発病前と同じような生活をしている患者さんはたくさんおられます。
【引用元】
公益財団法人 難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/441
最新の研究
毎年増え続けている難病でもあるため、潰瘍性大腸炎に関係する研究は活発に行われているようです。いずれも実用化に向けては、まだまだハードルが高そうですが、将来的に根本解決がなされる可能性がある、と分かっただけでも、気持ちが楽になります。
ヤクルト本社 広報室
ビフィズス菌による潰瘍性大腸炎の軽減効果
http://www.yakult.co.jp/institute/report/science_no13.html
難病の潰瘍性大腸炎 再生医療で完治を 東京医科歯科大学(2017)
NHK かぶんブログ
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/266306.html
慶應義塾大学医学部(2017)
藍色の染料が潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを実証https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2017/11/28/28-37454/
東京慈恵会医科大学(2018)
寄生虫で難病を治療=18年から安全性試験開始
https://medical.jiji.com/topics/488
ヤクルトが会社に営業しにきているので、できるだけ飲もうと思いました。
潰瘍性大腸炎の経過

『潰瘍性大腸炎は完治しないっていうけど、じゃあ私たちどうなっちゃうの?』と思われている方も多いと思います。寛解期が長く続いている方は安心されているかもしれませんが、安心してはいけないデータが田辺三菱製薬さんの下記サイトにまとめられています。私が改めて整理する必要もないくらい分かりやすくまとめられているので是非御覧ください。
田辺三菱製薬株式会社
知っとくカフェ
潰瘍性大腸炎の経過
http://www.remicare-uc.jp/about/lesion/lapse.html
このデータから私が感じたことは以下の点。
①潰瘍性大腸炎患者は二極化していく
活動期(再燃)は減少していき、寛解期に突入する患者が増えていく。一方で、結腸切除術をする患者も10年後には5人に1人の割合でいる。つまり、潰瘍性大腸炎に対して真摯に向き合うか否かで、自分自身の将来の症状は変わるのではないかと感じました。
②直腸炎型はやや安心
他記事でエントリーしましたが、潰瘍性大腸炎は病変範囲が人によって異なります。直腸炎型であれば、大腸切除術率は20年経っても7-8%未満ということが分かります。
③大腸がんリスクを潰すための定期検診は必須
なんと発症から20年後には8.3%(約10人に1人)、30年後には18.4%(約5人に1人)の方が大腸がんになるそう。潰瘍性大腸炎は20代で最も発症するので、40代~60代で大腸がんになる可能性が高いことがわかります。早期の発見が鍵ですので、潰瘍性大腸炎患者である私たちは頻度高くガン検査を受けるべきだと思いました。
まとめ
原因が不明なため、完治が難しいとされる潰瘍性大腸炎。しかしながら、研究開発は進んでおり、そう遠くない将来、潰瘍性大腸炎が完治できる時代がくるのではないでしょうか。私たち潰瘍性大腸炎患者やその家族の方々にできることは、その時代がくるまで、《寛解期》を維持し続けることですね。ついつい、薬の飲み忘れや、食生活・睡眠時間の乱れがあるので、反省したいと思います・・・
それではー
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